介護保険法改定の目的は?
なぜ?どうして?を意識
2025年問題に向けて
2018年度の介護保険法改正は、団塊の世代が75歳以上を迎える際に発生する「2025年問題」に備える意図があります。医療費と介護費が急増することが予想されるため、2018年の改正は質の高い効率的な介護サービスの提供実現を目的としており、サービス提供の体制を構築するための考え方が反映されています。
地域包括ケアシステムを重要視
質の高い介護サービスを提供するために、地域包括ケアシステムを推進していく考え方があります。地域包括ケアシステムは、高齢者が最期まで自分らしく住み慣れた地域で生活をすることを目標にしたケア体制です。住み慣れた地域の範囲とは、30分以内に介護や医療などのサービスを提供できることが基準の1つになります。
地域包括ケアシステムを推進することの目的には、中重度の要介護者を含めて、適切な医療と介護サービスを受けることができる体制を整備することです。推進していくための事項として、ケアマネジメントの質の向上、認知症の人への対応を強化すること、医療と介護の役割分担と連携の推進などがあります。
自立支援と介護予防の推進
2018年の改正では、自立支援と要介護度の重度化を防止するサービスがさらに高く評価されるように変わりました。これに伴い、要介護と要支援状態の維持と改善率を評価するためのアウトカム評価が、通所介護でも採用されるようになりました。このアウトカム評価で高い評価を得ることができれば、介護報酬の増額、あるいは加算サービス対象として扱ってもらうことができます。この改正によって自立支援と介護予防を推進し、介護費削減の目的を実現することが期待できます。
人材確保を目指して
2025年問題の中でも、介護サービスを提供する人材不足の問題は深刻です。2025年には34万人もの介護職員不足が予想され、介護サービスを受けたくても受けることのできない介護難民が大量に発生すると危惧されています。この問題への取り組みとして、2018年の改正には人材確保の目的もあります。
訪問介護における生活援助サービス提供者が、ホームヘルパーではなくても行えるように資格要件を緩和しました。また、効率的に介護サービスを提供するために、センサーで見守りを行う介護ロボットの導入を加算対象にするなど、情報通信技術やICTの活用も推進しています。
不正への対応
介護費増加の理由には、介護サービス利用者の増加や、要介護度の重度化防止以外にもあります。それが一部の悪質業者による、不要なサービスの提供と不当な価格のサービス提供です。不要なサービスや不当な価格のサービスを提供することは、利用料の大部分を負担している介護保険の財政圧迫につながります。そのため2018年の改正で介護サービスの適正化と重点化が図られています。
福祉用具貸与の価格に上限を設定することで、利用者に対して高額な貸与価格とならないように適正化を図ります。そしてサービス提供内容を踏まえて、訪問介護の報酬体系の見直しなどの対策が取られるようになりました。
介護保険法の改定内容を詳しく知りたい人へ
介護職員が知っておきたいポイント!
介護保険法について意識しているのは経営者ばかりで、介護職員はあまり意識しない人が多いかもしれません。しかし介護職員でも知っておくべき介護保険法のポイントがありますので、しっかり押さえておきましょう。
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